民藝の沼にはまったら永遠に抜け出せませんね…と思う筆者( .@azusagut )です。
とくに意識をせずとも、聞いたり、見かけたりする、「民藝」ということば。
字面を見て、なんとなくイメージはできますが、
なかなかその言葉について深くは理解できないかと思います。
そこで、今回はタイトル通り、さくっと、簡単に「民藝」という言葉の解説をしたいと思います。
民藝とは?
「民藝」という言葉は実は大正14年に作られた造語なんです。
正しくは、「民衆的工藝」という言葉を略して生まれた言葉です。
この言葉は、民藝運動の創始者である、宗教哲学者の柳宗悦(やなぎむねよし)によって作られました。
柳宗悦(1889〜1961)
彼は、民衆の用いる日常品の美に着目し、無名の職人達が作った民衆的工芸品を「民藝」と名付けました。
どうして民芸運動は始まった?
民藝運動が始まった当時、鑑賞目的の美術品こそが「美」という考えが主流であり、
名も無い職人たちが手がけた日用品、工藝品に評価を与える風潮はありませんでした。
そのなかで、柳宗悦は、
「日々の生活に美の喜びが伴わなければ、美はますます我々から遠のいてしまう」
と考え、
一般の民衆が日々の生活に必要とするものを「民藝品」といい、
毎日使う実用品こそ「美」が必要だとも考えました。
これらを作る職人の価値を認めるため、また「用の美」を備えたものを継承するために活動を始めました。
「用の美」とは?
「用」とは、「用途がある、使い道のある」という意味。
民藝運動が始まった頃、工芸界では技巧を凝らした美術品を目指す動きがありました。
実用性があり、それ自体にも「美」があるものを「用の美」といいます。
つまり、「実用を目的に作られたものにある美」と言えます。
そのため、「民藝」と聞くと、「うつわ」のイメージがありますが、
実際には織物、染物、和紙、人形などその種類は多様です。
まとめ
「民藝」というものは「用の美」を備えるものを指し、その種類は陶磁器、染物、織物、木工品など、多種多様である。
無名の職人たちが手がけた日用品が「民藝」ですので、有名な作家が作ったものは「民藝」とは言えません。
いろいろな民藝を見てみたい
これら民藝品を見るには、やはり日本民藝館へ行くのが一番でしょう。
東京は駒場にあります。
1936年、柳宗悦らによって設立され、およそ17,000点の民芸品を所蔵しています。
展示内容も定期的に変わるため、いつ来ても楽しめる内容となっています。
他にも、
河井寛次郎記念館、益子参考館、松本民芸館、豊田市民芸館、富山市陶芸館、
日下部民藝館、大阪日本民芸館、京都民芸資料館、丹波古陶菅、鳥取民藝美術館、
出雲民藝館、倉敷民藝館、愛媛民芸館、熊本国際民藝館…
といった民芸館もありますので、ぜひお近くの民芸館へ!(目が回ります…)
目の保養にもなりますし、地元を改めてよく知るいい機会になると思います。
アンチ民藝?
柳宗悦の起こした民芸運動を真っ向から批判した人がいたのをご存知ですか?
漫画『美味しんぼ』の海原雄山のモデルにもなった、
北大路魯山人(きたおおじ ろさんじん)その人です。
北大路魯山人(1883〜1959)
彼は柳宗悦を「柳初歩悦」と呼び、生涯に亘って彼を批判していました。
魯山人がなぜ批判をしたのか、また、彼自身についてはこちらをどうぞ。
民藝運動まとめ
本記事では「【さくっと解説】「用の美?」つまるところ、「民藝」ってなんですか?」について書きました。
みなさまも素敵な民藝ライフを!
コメント